有機EL VS 次世代液晶 (FED/SEDはどうした?)2007年10月03日 05時33分11秒

年内発売が発表された、ソニーの有機ELテレビ"XEL-1"。実物は見ていないが、スペックから判断する限り、映像の面では凄そうだ。
おそらく、今回の機種に関しては、セールスの面では厳しいだろう。プロジェクタや50型以上の薄型TVを愛用するようなAVファン向けには11型は小さすぎるし、ポータブルDVDを愛用するようなライト層向けには20万円は高すぎる。
しかし、これをステップに、2年後くらいに32型/フルHD/100万円の製品を出せれば、現実的に壁掛け可能な高画質TVとして競争力を持つのではないだろうか。

各社の次世代液晶も発表されている。現行の液晶・プラズマの画質が向上していることもあり、各社とも高画質化よりは薄型化に重点を置いてアピールしているようだ。薄さ・画質では有機ELに対し分が悪いが、パネル寿命の長さや、すでに大画面化のメドが立っている点は大きな強み。
液晶は、かつて画面の大型化や画質の面で分が悪いと言われたプラズマとの競争においても、ハイペースの改良によって勝利を収めた実績がある。有機ELをはじめとする新方式パネルとの競争でも、当初不利な面があっても逆転する可能性は大いにある。

一方で、かつて次世代TVの本命とも目されたSEDや、その仲間のFEDには元気が無い。トレンドが画質よりも薄さ・軽さ・デザインに移って来ている点も逆風で、商品化に漕ぎつけたとしても、今後10年くらいはマニア向け超高画質TVとしてニッチ市場を狙う他無いように思われる。
かといって、FED/SEDが商品化されないのももったいないので、どこかしらのメーカーには頑張って商品化してもらいたいが…。

Heaven And Hell 東京国際フォーラム2007年10月29日 03時22分53秒

少し時間が経ってしまったが、22日のHeaven And Hellの東京国際フォーラム公演に行ってきた。

私の記憶が確かならば、この手のライブでは、メタルTシャツが8割、そのうち3割はレザー装備のはずだった。そこで、革ジャン・革パン・DioのHoly DiverのTシャツ、という、一般的にはかなり痛い格好で会場へ向かったのだが、いざ会場に着くと、会場を間違えたかと思うほど、レザーもメタTもいなかった。平日ということもあったのだろうが、メタTよりスーツ姿の方が多かったのではないかと思われるほど。やはり、気合の入った人はLOUD PARKの方に行ったのだろうか…。

前座はTrivium。
彼らなりに頑張っていたのだろうが、ノイズにしか聴こえなかった、というのが正直な印象。一応、最新作の"The Crusade"も所有しているのだが、あまり聴いていなかったので、一曲も識別できなかった。

いよいよHeaven And Hellの登場。
リリース済みのライブDVDでは、オープニングは"E5150"から"After All (The Dead)"という、謎の流れになっていたが、今回は"E5150"から"Mob Rules"という、まっとうな流れになっていた。
しかしながら、"Mob Rules"と、次の"Children Of The Sea"では、ロニーの声がまったく出ておらず、サウンドのバランスも悪かった。3曲目以降、尻上がりに改善されていっただけに、名曲の2曲が悪いコンディションで演奏されたのはもったいなかった。こうしてみると、DVDのように、After Allあたりでウォーミングアップする(?)というのは良い構成だったのかもしれない。

オープニングからしばらくサウンドが悪いままだったが、途中のヴィニーの長いドラムソロの後、かなり改善された。ロニーのヴォーカルも力強さを取り戻し、終盤の"Die Young"や"Heaven And Hell"では、会場も合唱&メロイックサインでヒートした。やはり、あれだけの実力者が集結し、名曲群を演奏すれば良いライブにならないはずがない。

セットリストに関しては、選曲は順当だったものの、ライブDVDと比べて曲数が少なかった。Triviumもいたので仕方ない部分はあるが、"Lady Evil"あたりはぜひ生で聴きたかった。
"The Dio Years"の新曲は1曲も演奏されなかった。3曲とも結構好きなので、1曲くらいは演奏してもらいたかったが、まあ、"Heaven And Hell"や"Mob Rules"の曲に比べて優先度が落ちるのは仕方ないだろう。

もう一点、不満というほどではないのだが、Dioではよくやっている、ロニーがマイクスタンドをクルクル回すパフォーマンスが今回は観られなかった。あれは非常に鮮やかな手並みで好きなのだが、今回は、歌っている場面以外ではトニーやギーザーに見せ場を譲る、ということなのだろうか。

全体的な印象として、序盤のパフォーマンス内容や曲数の少なさ等、若干の不満はあったが、終盤の素晴らしさで帳消しにした感じだ。ロニー先生を生で観たのは2005年のZepp Tokyo以来だったが、正直緩やかに衰えてきている印象は否めない。しかし、メタル界の生ける伝説、人間世界遺産とも言うべき彼の生のパフォーマンスを観る機会は、もうそれほど多くは残されていないだろう。そんな中で、伝説的なSabbath編成でのライブを生で観られたことは、メタル者として幸せな体験であった。

次は、無謀な願いとは知りつつ、ロニー&リッチーのRainbowと、オジーSabbathの来日を期待したい。